自治体と一般的な対象に分かれ著作物引用して良い場合とトラブルが起こるケースがあります。
全ての著作物には必ず著作権があります
著作権は登録しなくても作成すると同時に発生してくる権利。
存続期間を過ぎてしまったものを除きすべての著作物には著作権があります。
原則として著作権者の許可が必要
著作権者以外の人が著作物を使用するには、原則として著作権者の許可が必要です。
承諾なしに勝手に使用してはいけません。
複数の著作物を使用したいという場合は著作者ごとに承諾を取ります。
引用という方法
考えられる手は…引用です!
主な引用に関する知っておきべきルール
- 文章の場合は必ず検索エンジンにも引用が認識できるようにblockquote(引用タグ)を利用
- 画像や写真・動画の場合には著作権・肖像権・パブリシティ権が存在すること
- 必ず出典元URLを明記すること
- 引用する部分は手を加えない事
- オリジナルコンテンツを引用すること(孫引きをしない)
この記事では文章や画像や写真・動画などの引用についてご紹介していきます。
引用とは?
引用とは他人の著作物を承諾なしに利用する形態のひとつ。
緒作物を自由に使える場合として、著作権法第32条に規定されています。
参考 著作物が自由に使える場合
引用には2通りの形態があります。
国や行政法人などの自治体が対象の場合
まず国や地方公共団体、独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成したものについて。
著作権がその公共団体にあるとして公表されている広報資料、調査統計資料、報告書などは、雑誌などの刊行物に転載することができます。
公共団体の著作物については、そんなに心配しなくてもよいでしょう。
もちろん無理やり自分の商品やサービスにこじつけたり、内容を勝手に変更したりするのはNGです!
一般的な対象の場合
もうひとつは一般的な引用について。
以下の引用の要件をすべて充たせば、他人の著作物を許可なく使用することができます。
- 公表された著作物であること
- 公正な慣行に合致するものであること
- 報道、批評、研究など正当な範囲内であること
- 引用の必然性があること
- 出所が明示されていること
- 引用部分が他の部分と明確に区別され、主従関係が明らかになっていること
以上の場合は、問題がおきにくい内容です。
引用についてに問題が起きるケース
実はこの一般的な引用のほうが問題なのです。
要件は曖昧なものばかりで自分の利用方法が公正なのか、正当なのかさっぱりわかりません。
不安があるなら、原則通り作者の許可を取れということなのでしょうが…
ここでは引用の要件について、わかりやすいところから順に、解説していきたいと思います。
公表された著作物であること
出版、公共の場所への展示、ホームページやブログなどで一般大衆が目にすることができるようになっていることが必要です。
機密情報は、もちろんダメ。
ブログでも、読者を限定しているものは公表されているとはいえませんね。
出所が明示されていること
出所とはどこから持ってきた情報かということ。
情報のあった場所をカッコ書きや注釈などで表示すればOKです。
あとで書こうと思ってそのまま忘れてしまうことがあるので注意しましょう。
引用の必然性があること
よくページに余白があるから、本文に関係ないイラストをちょこっと入れたりしますよね。
これは、使用する必然性がないからNGなのです。
自分の文章に関連するものを使うように心がけてください。
引用部分が他の部分と明確に区別され、主従関係が明らかになっていること
引用した著作物が自分の文章の中に入り乱れて、区別がつかないようではいけません。
段落を分ける・枠やカギカッコで囲むなど、「これは他人の文章だな」と一目でわかるようにしましょう。
文章のほとんどが他人の著作物で自分の文章はスキマを埋めているだけ…というのもダメです。
あくまでも主体は自分の文章。
他人の文章は添え物という状態で使いましょう。
公正な慣行に合致するものであること
これは非常に曖昧な表現です。
法律の専門家としても、何がどこまで許されるのかわかりません。
明確にダメと言えるのは、他人を誹謗・中傷するもの、事実を誤認させるものなど、誰が考えてもおかしいと思うもの。
あまり気にしなくてよい要件といえます。
報道・批評・研究など正当な範囲内であること
実はこの要件が一番の曲者なのです。
報道、批評、研究以外では何が「正当な範囲内」といえるのかさっぱりわかりません。
特に問題になるのが、営利目的の表現。
広告など自社の商品ゃサービスを売り込むための利用が、正当な範囲であるのかどうかです。
学者の中でも判断は分かれています。
著作権者に近い立場の人は、狭く解釈する立場。
逆に、産業界に近い立場の人は、広く解釈する立場になり統一した見解がありません。
実は著作権者、利用者とも、訴訟にすることができない状態なのです。
もし著作権者が勝訴すれば、営利目的では一切の引用ができなくなります。
その結果、著作権団体が集金に走りまわることに…広告による自由な情報提供ができなくなってしまいます。
一方、利用者が勝訴すれば使い放題です。
タダで好きなように使えると、不適切な利用が横行しかねません。
そこでオススメなのは、安全や学術研究など公共目的に関連した利用方法です。
あからさまな広告ではなく、利用者目線で広く役立つ情報を提供するようにすればまず心配ないでしょう。
実際のウェブ掲載の引用の方法
では実際にどのようにウェブサイトやブログに引用として掲載していくのか?
種類別にご紹介していきます。
ブログや書籍の引用の方法
実際には、引用する文章を抜き出して自分のサイトやブログに掲載します。
この部分はコピーペーストで構いません。
blockquote(引用タグ)を使う
そしてblockquote(引用タグ)で囲い、引用先コンテンツとして掲載する事です。
検索エンジンにも認識してもらうために必ずblockquote(引用タグ)は使いましょう。
最後に引用先のURLの掲載と 引用の旨を記載しましょう。
このような形式になります。著作権法第32条1の文章を引用掲載する場合
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
wikibooks著作権法第32条 より引用
引用タグを利用する事と、引用先URLを掲載することが重要です
歌詞の引用について
歌詞についての引用は著作物の種類については、一般の記事と一緒の方法で引用できます。
ただ歌詞、全文をそのままコピーペーストで掲載するのは引用ではなく単なる盗用になってしまいます。
あくまで該当する箇所の一部分の引用に留める方が無難とされています。
一般的な著作元は一般社団法人音楽著作権協会(JASRAC)を中心とする団体。
もし全文使う場合、引用の範囲を超えそうな時はしっかり事前許可を取る方が良いですね。
またJASRACと使用契約のあるブログや動画投稿サイトでは、その媒体の中で利用ができる仕組みになっています。
有名どころでは(アメブロ・ライブドア・ヤフー知恵袋・ニコニコ動画・YouTube・Tiktokなど)
https://www.jasrac.or.jp/info/network/ugc.html
写真・動画・画像の掲載について
同じく引用の出典先URLを掲載していきます。
出典 宮武Instagram
著作権・肖像権・パブリシティ権
動画や画像などの媒体は文章とは違い、著作権・肖像権・パブリシティ権が存在します。
ポイント
撮影した人、撮影された人(媒体)、そして利用による利益・価値に関するパブリシティ権がある事は絶対に覚えておきたいですね。
被写体でなくても映り込んでいる場合や加工されている場合でも変わります。
著作権・肖像権・パブリシティ権の3種類についてはこちらに詳しく説明しています。
クリエイティブ・コモンズ
またクリエイティブ・コモンズなども存在します。
著作権とは少し違いクリエイティブコモンズライセンス=CCライセンスを提示しているか?
大きく利用できる環境も変わります。
同じく覚えておきたいですね。
引用時の注意ポイント
文章や写真・動画などの引用をする時に、知っておきたい注意点が幾つか存在します。
こちらも必ず覚えておきましょう。
引用部分はそのまま掲載する
引用という事は、著作者の表現することをそのまま伝える事になります。
勝手に手を加えない
作成の意図や意思などは伝える事に意味があり、引用部分は改変してはいけません。
もし伝えたい部分があったら、引用の後に自分で解説や補足情報を入れていきましょう。
細かな言い回しなどもNGです。あくまでコピーペーストで使います。
自分のサイトやブログのイメージと違うからといって、リライトしたり添削して使うのもダメです。
SNSや動画は埋め込み機能を利用する
ツイッタ―やフェイスブック、YouTube動画などは、サイトやブログに掲載する場合埋め込み機能があります。
埋め込み機能を利用しましょう。
埋め込み機能は基本的に、埋め込んだ部分(著作物)の媒体が直接ユーザーと著作権者のやりとりになります。
そのため著作権侵害にはならない事がほとんどです。
※著作権者がダメといった場合はNGです。
無許可アップロードは禁止
動画や写真を一旦ダウンロードして、自分のサイトやブログ・SNSに違法アップロードするのは著作権侵害になりますので辞めましょう。
あくまで引用として、説明が必要な部分が対象になります。
オリジナルコンテンツを対象にする
引用は必ず著作権を所有する人や媒体が対象になります。
中には誰かが引用したコンテンツからさらに引用する「孫引き」を行っている方がいますがダメです。
孫引きはもし著作権者と引用した人にトラブルがあれば、違法と判断された時に一緒に罰せられます。
その場合は話し合いに参加する事もできず、ただ罰則に応じるしかありません。
文章でも写真・画像・動画なども同様です。
必ずオリジナルの著作権者を探し当て引用しましょう。
まとめ 引用する際は必ずルールを守りましょう
コピーペーストとは違い引用は一見、なんでも大丈夫なように思えますがルールが存在します。
引用に関するルール
引用時は以下のルールを守り正しく使わせていただきましょう。
- 文章の引用はblockquote(引用タグ)を利用
- 歌詞の場合は文章と同じ扱い(JASRACと使用契約しているブログや配信会社もある)
- 画像・写真・動画の場合には著作権・肖像権・パブリシティ権が存在する
- 全ての必ず出典元URLを明記する
- 引用する部分はそのまま使い、絶対に自分で手を加えない事
- トラブル防止のためオリジナルコンテンツを引用すること
「どうせ大丈夫だろ」と思ってめちゃくちゃな違法コピーをしていると大変な事になります。
こちらも知っておくべき情報です